不動産ファンドの業務内容

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1. アクイジション

①ソーシング・アクイジション
CBRE、JLL、野村不動産、東急リバブルなどの大手売買仲介や、みずほ信託や三菱UFJ信託などの大手信託銀行の仲介部門をはじめとし、中小規模の売買仲介や個人のブローカーなど、あらゆる手段で投資対象不動産を発掘する業務です。独自のルートやネットワークで売主と直接やり取りして案件を獲得することもあります。
ファンドによっては、ディストレスドローン (Distressed loan)やノンパフォーミングローン (Non-performing Loan)と呼ばれる不良債権に投資したり、不動産保有会社をM&Aで買収したりします。不良債権のソーシング先は、銀行などの金融機関が多く、不動産保有会社のM&A案件のソーシング先は、投資銀行や証券会社です。また、勤務するファンドによっては、複数のファンドを持ち、ファンド毎にチームが分かれている場合もあります。

ファンドタイプ
・Core Fund < Core Plus Fund < Value-add Fund < Opportunistic Fund (要求リターン順)
・Separate Account (投資家毎に組成するオーダーメイドファンド)

②バリュエーション
不動産の評価業務です。過去の収支実績が把握できるPMレポートなどを入手し、賃料やキャップレートのコンプスを基に対象不動産の価値を査定します。賃料やキャップレートのコンプスは非公開情報ですので、知り合いや懇意にしている売買仲介、PM会社、賃貸仲介などに情報を取りに行きます。Jリートの売買情報は公開されていますので、鑑定評価に基づく賃料やキャップレートを参照できますが、独自ネットワークで入手した実際の成約事例の賃料やキャップレートを重視するファンドが多いと言えます。

③アンダーライティング
キャッシュフロー分析です。物件のキャッシュフローだけでなく、SPCコストやファイナンス関連コストなど全てのキャッシュフローをモデルに落とし込みます。投資戦略に基づき、投資期間やローン条件などの想定を置いて、IRRやエクイティマルチプル (Equity Multiple)と呼ばれる投資リターンを確定していく作業です。

④デューデリジェンス
不動産の遵法性が担保されているか、不動産が生み出すキャッシュフローに影響を及ぼす瑕疵がないか、隣地との境界が確定してるか、エンジニアリングレポートの取得を通してアスベストや土壌汚染がないかなども確認します。

⑤ドキュメンテーション
不動産の取得には多くの関係者が関与します。売主、信託銀行、プロパティマネジャー、レンダーなどが関与します。それぞれの利害を調整するために契約書をまとめる作業です。

⑥クロージング
全ての契約書について合意し、各種契約のデリバリー・調印、不動産関連書類の受け渡し、クロージング日当日の資金実行、その後の登記手続きを遂行する業務です。

2. アセットマネジメント

①期中管理
物件の運営戦略の策定・実行、PM会社の管理監督、リーシング、修繕計画立案、バリューアップ、キャッシュマネジメントをはじめ、信託銀行、レンダー、会計事務所などのストラクチャー関係者とのやり取り、投資家へ運用状況報告などの業務になります。

②ディスポジション
物件の売却業務です。投資家のリターンを最大化するのがAMの役割であり、ディスポジションにおいては、いかに多くのキャピタルゲインを実現できるかが試されます。個別に買主と交渉する相対取引やビッドと言われる入札取引で買主を決定するのかなどの方針を決めて買主を決定します。

3. ファイナンス

レンダーからの資金調達業務です。ファイナンス専門のポジションがあるファンドは少なく、アクイジションチームやアセットマネジメントチームにファイナンスが得意な人がおりその人間が担っていることが多いです。